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銀座にて 松井亨先生 |
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松井亨「銀座四丁目 和光前」水彩8号大 |
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松井亨「歌舞伎座にて」水彩6号大 |
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松井亨「バー・ルパン」水彩8号大 |
文士たちの故郷や慣れ親しんだ街角には、作家や作品世界の原点をみることができます。
特集では、今を生きる画家たちが、彼らが愛した風景を思いをはせて描きました。
松井亨先生は、時には黒パステルで力強く、時には細いペンで繊細に、無頼派文士の生き様が刻まれた銀座の街をスケッチしました。
東京・文士が歩いた街を描く
路上に座り込んで描いた無頼派文士の愛情と情熱 洋画家 松井 亨
太宰治、坂口安吾、織田作之助・・・・昭和を閃光のように駆け抜けた文士たちが愛した銀座。この街をスケッチブックとパステル、ペンを持って、「銀ブラ」しました。
まずは銀座四丁目の交差点角の「和光」。西洋モダニズム建築による時計台、曲線を描くショーウィンドウは時代の流行を映し出し、まさに銀座のランドマーク。建物全体が見える歩道で汚れるのも構わず地面に座り込む。これが私のスタイル。黒のパステルで一気に描きました。
次に向かったのは歌舞伎座。今度はペンを使い、細かく繊細なタッチで歌舞伎座を描いたのは愛惜の情から。老朽化とはいえ、この文化財が取り壊されるのはとても惜しいです(岡田信一郎設計の劇場建物は、現に国登録文化財であり、銀座の重要なランドマークとなっていることから建替は現在審議中)。
最後は銀座五丁目の「バー・ルパン」。店内で太宰治がイスにあぐらをかいている写真で有名です。画家では東郷青児や岡本太郎も通ったという。暗い路地にあるお店の前には、ルパンが描かれた印象的な看板、黒のパステルで大胆に描いたのは、今にも無頼派文士たちが酔っぱらい、肩を組んで出てきそうな昭和の雰囲気が漂っていて、その熱気を画面に表したかったからです。
路上に座って描くとその街の本当の姿が私の前に現れます。無頼派文士たちの情熱と愛情を私は銀座で肌にしっかりと感じ取りました。
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