今月のおすすめ作品<印象派へのオマージュ>お知らせ
今年から150年前にパリで開催された「第一回印象派展」。のちに「印象派」と呼ばれることになる画家たちのグループ展でした。光をとらえ、鮮やかな色彩を用い、大胆なタッチで描かれた彼らの作品は、センセーショナルに「新しい絵画」を切り開き、現在もその影響力は圧倒的です。今回は現代の作家たちによる印象派へのオマージュ作品から、おすすめの5点をご紹介します。
蛯子真理央 「月夜」
「月夜」 油彩6号 308,000円(税込)
昨年の9月、フランス南部の小さな村に3週間滞在しました。ゴッホが『星月夜』を描いたサン=レミから西に約100キロ。借りていた家には広いバルコニーがついており、夜は驚くほど星がハッキリ見えます。おあつらえ向きとばかりに敷地内には糸杉も数本。私の目には星も糸杉もウネウネと渦巻いて見えませんでしたが、夜の色は深く青く感じました。134年前にゴッホも同じ空を見上げたのでしょうか。その視線に敬意を込めて。(蛯子真理央)
池田清明 「小さなバイオリニスト」
「小さなバイオリニスト」 油彩P20号 2,200,000円(税込)
この絵は孫の仁乃(当時7歳)をモデルに、2020年に描き始めました。当初、背景に林の絵を描いていましたが、なんとなくしっくりせず、絵を放置したままになって時がすぎました。最近になってこの絵をまた眺めていると、長女がマネの『笛を吹く少年』のようなバックにしてみたらと言います。実際そのようにしてみると、人物がひき立ち、背景にも空気感が出て、絵が完成しました。ちなみに仁乃は今、小学6年生。髪も伸ばしてすっかり見違えています。(池田清明)
入江 観 「樹間聖山」
「樹間聖山」 油彩3号 396,000円(税込)
初めてサント・ヴィクトワールに向かい合ったときの感動は忘れない。長い間、セザンヌを畏敬してきた自分がサント・ヴィクトワールに手を出すなどということは考えられぬことと思っていたはずだったが、シャトー・ノワールの松の樹越しに見えた聖山の前で、もう描かずにはいられない思いに駆られて抑えることができなかった。大作も含めて何度も挑戦を繰り返してきたが、あの日の感動の実現には遠い。(入江 観)
河原 裕 「桃のある静物」
「桃のある静物」 油彩S4号 110,000円(税込)
私はセザンヌ初期作品の特徴である絵具の厚塗りの技法に着目しました。彼自身の原点でもある描き方には、何か強いうちに秘めた部分を感じ、本作では細部よりも躍動的な筆づかいやペインティングナイフを用いることで、存在感のある重厚な画面を表せたらと思いました。(河原 裕)
佐久間公憲 「暦」
「暦」 油彩6号 330,000円(税込)
ルノワールの絵は、その豊かな感性に目を向けがちですが、画面をよく観察すると、いわゆる絵画の造形性に非常に配慮されていることに気づきます。例えば、画面の中の暖色と寒色の割合やその配置などが絶妙になされています。大事なことを見誤らないようにしたいものです。(佐久間公憲)