今月のおすすめ作品<水彩で描く人物画の競演>お知らせ

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みずみずしく透明感あふれる色彩、独自の技法で人気の水彩画。今月は水彩で描く人物画のおすすめ作品5点を紹介いたします。同じ水彩の人物画でもバラエティに富んだ表現に作家の個性が光ります。それぞれの混色テクニックと合わせて、どうぞお楽しみください。

有川利郎 「芳紀…十七歳」


「芳紀…十七歳」 水彩5号大(37.0×27.5cm)143,000円(税込)
肌色はジョンブリアンをベースとし、パーマネントバイオレット、フレームレッド、オペラ、カドミウムイエロー、イエローオーカー、ビリジャン、セルリアンブルー、チタニュウムホワイトなどを使用。着彩は塗るより、画紙を湿らして置く感覚でにじみ、輪にじみを活かす。モチーフに視認できない色を感受し、絵画性の高い作品へと昇華していけたらとの思いでいます。(有川利郎

小野月世 「夏の名残り」


「夏の名残り」 水彩5号大(26.7×36.0cm) 165,000円(税込)
肌の色はあまり多色を使用せず、ウィンザーイエロー、アリザリンクリムソンでオレンジを混色し、その濃淡や色の比率の変化で肌ベースの色をつくります。静脈の見える青味がかった部分はコバルトターコイズライトを混色します。髪も色には個人差がありますが、この作品では茶色味をバーントシェンナ、青味はフレンチウルトラマリンを使用して、陰影を意識して描きました。(小野月世

徳田明子 「あさきゆめみし」


「あさきゆめみし」 水彩6号大(41×31cm)99,000円(税込)
透明水彩は発色の良さが魅力のひとつですが、自分の作品には鮮やかな色がどうも合わない気がして、墨や白を混ぜてあえて彩度を落としています。クサカベのシングルピグメントのステイニングは鮮やかで染まるように色がつき、ムラなく均一に塗れるのですが、これにさまざまな色を混ぜて美しいグレーをつくるのが、最近のお気に入りです。(徳田明子

山本佳子 「学生R」


「学生R」 グワッシュ4号大(33.5×24.5cm)88,000円(税込)
不透明水彩は白と黒も含めた混色をします。そして、水を減らし、明るい色を後からのせることができるのが魅力です。今回も描いているときに、背景の色が明るい鼻先ににじみ込んでしまいましたが、白をたっぷりと使った明るい不透明な肌色で簡単に直すことができました。描き進めながら修正もできるのは、この画材の大きな強みです。また、混色してパレットに残った色や白と黒を使ってできたような一見、鈍く彩度の低い色も絵の中では美しい中間色として活かすことができます。(山本佳子

高根沢晋也 「人物素描」


「人物素描」 水彩10号大(53.0×42.4cm) 220,000円(税込)
人の肌は色白、色黒、黄みが強かったり、赤みが強かったりと千差万別です。私はカドミウムイエローレモン、バーミリオン、ウルトラマリンの三原色を、混色の比率を変えながら塗り分けて、肌の色合いを表しています。(高根沢晋也