今月のおすすめ作品<日展洋画家 風景と花>お知らせ
日本最大の美術展覧会として100年以上の歴史をもつ日展。毎年秋が深まるこの時期、巨匠から新進気鋭の若手まで日本の美術界を代表する作家の新作が一堂に展覧できる日展が華やかに開催されます。今月は一枚の繪でも人気の日展洋画家の作品から、風景、花をモチーフにしたおすすめの5点をご紹介します。
野口俊介 「光の花咲く丘(バウツェン/ドイツ)」
「光の花咲く丘(バウツェン/ドイツ)」 油彩P6号 198,000円(税込)
ドイツ東部にあるパウツェンの丘から望む朝陽に輝く情景。混色におけるこだわりのひとつは、陰影においても光を内包した色味を感じられるように、明部よりも隠蔽力を抑えた配合のホワイトを使用し、彩度を抑えたやや明度の高い暗部を描いた上で、透明層を重ねて表現することです。(野口俊介)
斎藤秀夫 「薔薇」
「薔薇」 油彩6号 396,000円(税込)
薔薇を描くときは、5~6種類の色を組み合わせて描きます。色と色が響き合って薔薇の美しさをより一層引き立たせることができ、また色彩の勉強になると思うからです。(斎藤秀夫)
成田禎介 「池」
「池」 油彩6号 990,000円(税込)
自然は何万色もの色調に満ちている。絵具会社のつくった数色の混色では、複雑な変化に対応し、魅力を探り出すことはできない。私のやり方としては、時に多くの混色をし、その中から目指す色を探り出していく結果、濁っていくこともある。しかし、ものには主役と脇役とがあるように、それぞれの部分の役を活かして引き立てあえる中で、色の魅力を引き出せると思う。色づくりには、時に再度の高い色を活かし、あとは気に入るまで混色をした上で、バランスの取れたものにできればと思う。(成田禎介)
久保博孝 「フラワーランゲージ」
「フラワーランゲージ」油彩6号 330,000円(税込)
混色をするときに注意しているのは、明度と彩度です。近い色、遠い色は彩度で決まります。近くはより強く鮮やかに。遠くは前に来ないように混色して調整します。色数を多く混色したり、白を混ぜたりすることによって色は弱くなり、遠くへ行きます。色相環の中の近い色は3色、あるいは4色混ぜてもそれほどにごりませんが、遠い位置の色同士を混ぜるとにごります。ただ、にごった色がすべて悪いわけでななく、美しい色を引き立ててくれます。陰の役者なのです。(久保博孝)
大友義博 「バラとベリー」
「バラとベリー」油彩4号 264,000円(税込)
色彩は単独で存在させるのではなく、色の流れとしてグラデーションの表現にすることを常に意識しています。そのグラデーションの連なりやぶつかりにより、空間が豊かになると考えています。また、絵具は色のままにとじこめず、グラデーションにして流れをつくることで、絵が硬くなることを防ぎます。(大友義博)