今月のおすすめ作品<水彩技法を駆使して>お知らせ

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鮮やかな発色、透明感などの魅力で人気の水彩画。今月は、にじみ、ぼかし、洗いの三大テクニックをはじめ、水彩技法を駆使した風景、人物、花・静物画のおすすめ作品5点をご紹介します。

滝田一雄 「花のコンポジション」


「花のコンポジション」水彩6号大(39×31cm) 264,000円(税込)
たきた・かずお
前に描いておいた作品を利用し、中間色を求めて、水洗いを繰り返しました。亀の子タワシで繊維が遊離状態になるまで洗い、色を重ねると染色状態になります。紙の繊維と絵具が絡み合い、しなやかな素材に色が定着します。透明水彩の渋さを引き出すと同時に中間色の深い味合いを感じとることもできます。絵具の量で描くのではなく、紙の繊維と絵具とのコラボレーションなのです。(滝田一雄

茅野吉孝 「春の萌し」


「春の萌し」水彩10号大(34.5×53.0cm) 330,000円(税込)
かやの・よしたか
水が絵具を運び、変化するにじみ。一瞬にして変わる表情。偶然の産物でもある作品は時に想像を超え、水彩ならではの新鮮な感覚が好ましく、彩色はさわやかさを失わないよう心がけたい。(茅野吉孝)

コヤマ大輔 「船」


「船」 水彩6号大(28.2×38.4cm) 121,000円(税込)
こやま・だいすけ
今回の風景は距離に特徴を感じました。そこで遠近感を出す工夫をいくつか入れています。リフティングや霧吹きなどです。また、水面の質感やヨットのマストなどは一度塗ってから絵具をはがす技法を使っています。技法というと難しく聞こえますが、「はっきりさせる」「ぼかす」「かすれさせる」の表現方法です。そこに水彩画ならではの特性、水の粘度、乾くまでの時間、明るい部分を避けて塗るなどを考えます。注意するのは、技法を使うことを前提で描くのではなく、描きたいモチーフの必要に応じて技法を使うことだと思います。(コヤマ大輔

白井洋子 「豊穣の刻」


「豊穣の刻」 水彩6号 264,000円(税込)
しらい・ようこ
静と動、豊穣と質素、華やかと地味。対照的な2つの作品を描いてみようと思いました。 そのうち豊穣、華やか、動のこの作品は花や果物たちにあふれ、金箔を施しました。(白井洋子

滝沢美恵子 「想」


「想」 ガッシュ10号 330,000円
たきざわ・みえこ
人物と色との構成で、その人のかもし出す想いまで描けたらと思います。色を重ねるときにはマチエールをつけ、また色を置く。そんな作業をしながら描いていくのが好きです。(滝沢美恵子)