今月のおすすめ作品<画家とモデル>お知らせ

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人物を描く画家の制作の源泉となるモデル。モデルと出会い、信頼関係を築き、有言無言の対話をしながら作品を構築していく画家たちの想いとともに、人物画のおすすめ作品5点を紹介いたします。

池田清明 「緑風」


「緑風 油彩6号 660,000円(税込)
いけだ・せいめい
私には二人の娘(長女・初絵と次女・沙絵子)がいて、長くこの二人の娘をモデルに作品を描いてきました。特に大作ではその時々のさまざまなシチュエーションでそれに合う衣装を探し、絵づくりを楽しんできました。長女は幼い頃から習っていたバイオリンが役立ち、それを弾いたり携えたりする姿。次女は大学時代に没頭していたフラメンコ姿、また大学で専攻の日本画を描く姿が絵になりました。そして、子どもが産まれてからは、それぞれの子どもの成長に合わせて母子像もたくさん描きました。早いもので、今は成長した孫が単独でモデルを務めるまでになりましたが、二人の娘もまだまだ主役の座を守っています。この作品は長女が裏山の緑を背景に風を感じながらモデルをする姿です。(池田清明)

宇田川 格 「whisper voice」


「whisper voice」 油彩10号 330,000円(税込)
うだがわ・かく
人が何気なく存在する自然さを探るうちに、モデルさんにはポーズを固定せずに自然体で本を読んだり、窓の外を眺めてもらうようにお願いするようになりました。体勢も表情も指先も自由に動いてることで、日常の中にある瞬間的な所作の美しさを見つけられるようになり、揺らぎをまとめる過程でモデルさん個人の似姿を超えて、絵画的なフォルムを再構築しやすいことも発見しました。そうやって直接モデルさんを生き生きと描く楽しみも大切にしつつ、それを着想の材料として自分一人がキャンバスと向き合い、画面を組み立てていくことも同じぐらい大切にしています。(宇田川 格)

山本佳子 「モンマルトルのカフェ」


「モンマルトルのカフェ」 油彩6号 231,000円(税込)
やまもと・よしこ
モンマルトルのカフェ 油彩6号 231,000円
雰囲気の良いカフェに立ち寄りました。私が注文したソルベがどういうわけかなかなか来なかったので、クレープを食べている娘をスケッチしました。帰国して一気に描き上げた作品です。衣装はシャルトルで娘が見つけてきたワンピースです。(山本佳子)

西田陽二 「城が見える風景」


「城が見える風景」 油彩10号 440,000円(税込)
にしだ・ようじ
私の現在のモデルとの出会いは10年ほど前です。以前勤めていた大学の学生で、本人も油彩画を描いている作家です。久々に大学のアトリエで出会ったときに、髪をシルバーに変えているだけではなく、顔の印象も違っていたので理由を尋ねてみました。彼女は自己流でメイクの研究もしていて、その成果だとのことでした。もともと顔立ちは整っていましたが、メイクで印象がすっかり変わることに驚きました。そのときは私が描きたかった西洋人風のメイクだったので、すぐにモデルをお願いしました。その後も私がこんな感じでとお願いすると、それに応えてメイクを変えてくれました。今では事前にコスチュームの画像を送ると、それに合わせて髪型やメイクを整えてきてくれます。本人が絵を描いていることもあるとは思いますが、私の希望を理解してくれています。今では「私の作品は絵描きとモデルの共同制作」となっています。(西田陽二)

茶谷雄司 「Sonata no.23-Ⅱ」


「Sonata no.23-Ⅱ」 油彩15号 583,000円(税込)
ちゃや・ゆうじ
女優の万里紗さんは、モデル事務所のポートレート写真(モナリザのような感じ)を拝見したときに、どこかアーティステックな雰囲気を漂わせていたので、お願いしたのが出会いでした。魅せる、演じることが生業の彼女が、私の新しい扉を開いてくれて大変幸運でした。映画『不滅の恋/ベートーヴェン』をテーマにモデルを演じていただき、愛しい人に会えない切ない時間を見事に表現してくれました。私が好きなフェルメールのように暗くて静謐な雰囲気と、恋愛で揺れ動く心情を合わせて描いた、ある意味で今までの集大成のような作品世界を没頭して描き上げることができたように感じています。(茶谷雄司)