Spotlight-画家インタビュー 西中良太Pickup
西中良太「月の路ゆき」 彫刻(鉄・ウッドストーン) H60×W47×D10㎝ 726,000円
西中良太「牧のトモダチ」 彫刻(鉄) H24×W26×D13㎝ 297,000円
西中良太「犬と笛吹き」彫刻(鉄・五島石) H35×W20×D12㎝ 330,000円
西中良太「風を奏でる」 彫刻(鉄)H50×W20×D11㎝ 561,000円
西中良太「ラスコーの鹿」 彫刻(鉄・和紙・五島石) H45×W21×D10㎝ 363,000円
西中良太「月にフクロウ」彫刻(鉄・桜) H18×W17×D5㎝ 132,000円
「人間とは?」を自らに問い続け、「月」「風」「人」「生き物」などをモチーフに彫刻作品を生み出している西中良太先生。音を発しない彫刻でありながら、その作品からは様々な音色が奏でられ、観る者の心に響いてくるようです。制作のテーマについて、モチーフに託す想い、素材の魅力、近作のこと、今夏開催される個展へのメッセージなどを伺いました。
西中良太先生
正解のない答えの模索
Q.今、作品で表現したいことは?
西中:彫刻を制作する上で、根本にあることは「人間とは?」という自分自身への問いかけに対する正解の無い答えの模索と、様々な「人間」への想いの具現化です。
そのために人間と対峙する自然や生き物、人類の歴史や営みをテーマに表現しました。その中で生まれたモチーフが「月」「フクロウ」「動物」「楽器」などです。
鉄や土の魅力
Q.作品の素材としての鉄や土の魅力をお聞かせください。
西中:素材は作品の発想に大きな影響を与えます。鉄と土との出会いがあって今の作品が生まれました。どちらも人類の文明とともに生活には欠かせない物で、それらに対する親近感は我々のDNAにすり込まれている気がします。これらの素材で制作すると次への制作意欲と新たなイメージが沸き出てくるのです。
鉄は堅く冷たく無表情ですが、溶接で熱を加え柔らかくしたり、溶かしたりすると様々な表情を見せてくれます。その適度な抵抗感が自分の制作リズムに非常に合っています。
土は粘土の状態の柔らかい状態から乾燥させる工程で徐々に堅くなります。その都度の堅さによって作業の道具や、質感が違います。その抵抗感もまた創作意欲を高めてくれます。
Q.近作について
西中:「月の路ゆき」-「月」は生物が生きるために欠かせない存在です。「路」は今まで歩んできた、これから歩む、人間の営みの象徴として、「群像」は人間そのものの象形として、それぞれよく使うモチーフです。台座に使っているウッドストーンというトルコ産の切り立った山のような石を見た瞬間、この3つのモチーフが一つになりこの作品が誕生しました。
「牧のトモダチ」-羊や牛など角を持つ草食動物に惹かれます。生物は生存のための様々な仕組みを獲得してきました。その一つの形が角であり、「イノチ」の象徴としてモチーフにしてきました。細い鉄を組み合わせることで柔らかさと軽やかさが出せればよいと考えました。ちなみに「牧」は「ぼく」と読んでください。
「犬と笛吹き」-「ハーメルンの笛吹き」の寓話を読んだとき、「人間とは」を考える一つの視座を与えてくれました。それから「笛吹き」は重要なモチーフになっています。今回は犬と組み合わせることでどんな物語を感じていただけるか楽しみです。
「風を奏でる」-「風」には形も音もありません。でも木々の揺らぎや騒めき、衣のはためきにその存在を感じます。「風」は人間に様々な状況で対峙し、恵みにも脅威にもなる存在です。私が「人間」を表現するうえで一番重要なモチーフです。
「ラスコーの鹿」-古代の洞窟壁画に人類の偉大さを感じています。その先人たちが見ていた動物を立体で表すとどうなるだろうか?と始めたのが「洞窟壁画シリーズ」です。台座の石は「五島石」という石で、洞窟壁画のような自然の文様に一目惚れし、作品のイメージにつながりました。
「月にフクロウ」-森の賢者ともいわれる「梟」ですが、その眼差しは人間のすべてを見透かしているようで、とても気になるモチーフです。
観る人の心の琴線に響くことを願って
Q.今回のギャラリー一枚の繪での個展に向けてメッセージをお願いします。
西中:今地球上で起こっている悲喜こもごもな出来事を見聞するにつけ、平和であることの重要性と彫刻を制作できている有難さを感じ、改めて「人間とは」と自問しています。
今回の個展のテーマは「響く」。サブタイトルにもある「風」は物に触れその存在が判るように、音を発しない彫刻から、風を感じ、音を感じて、それが少しでも心の琴線に響いてくれることを願って制作しています。
◎西中良太 にしなか・りょうた
1961 大阪府に生まれる
1984 多摩美術大学彫刻科卒業
1985 現代日本具象彫刻展 ハマ展受賞(横浜市立美術館)
1986 多摩美術大学大学院修了 卒業制作買い上げ
長野県更植市役所前設置
1991 関西新制作展新作家賞
1997 自由美術展(以降毎年出品)
2000 自由美術展佳作賞
2001 自由美術展新人賞受賞
2003 自由美術協会会員推挙
2008 大阪国際空港環境対策事業記念モニュメント設置
2009 追手門学院茨木中高等学校新校舎モニュメント設置
自由美術展自由美術賞
徳島野外彫刻展招待
現在 大阪彫刻家会議運営委員 日本美術家連盟会員

