Spotlight-画家インタビュー 王 軍Pickup
王 軍「爽やかな季節(上高地)」 水彩6号大 198,000円
王 軍「水辺の光景」 水彩6号大 198,000円
王 軍「午後の一時(アムステルダム)」 水彩4号大 132,000円
王 軍「蘭彩」 水彩5号大 165,000円
王 軍「秋日(軽井沢)」 水彩4号大 132,000円
王 軍「卓上の花」水彩4号大 132,000円
王 軍「岸辺(ベニス)」水彩6号大 198,000円
王 軍「森の朝」水彩6号大 198,000円
王 軍水彩画展2026-展覧会情報
透明水彩ならではの美しいにじみやぼかし、みずみずしく趣き豊かな表現で国内外の風景や季節の花を描く王軍先生。18回目となるギャラリー一枚の繪での個展を前に、心惹かれる風景、主要モチーフの表現ポイント、近作について、今回の個展に向けてのメッセージなどを伺いました。
王 軍先生
光と空気感を大切に
Q.王軍先生にとって「絵に描いてみたくなる風景」とは、どんな風景でしょうか。特に心に残っている取材地についても教えてください。
王:日本の四季折々の自然風景に心を惹かれる一方で、ヨーロッパでは歴史を刻んだ古い街並みや建築物と自然が織りなす風景に深い魅力を感じています。
特にベニスは印象深い取材地の一つです。「水の都」と呼ばれるように、ベニスは水面が主役となる風景にあふれています。水辺に映る光や影、揺らぐ映り込みが織りなす情景が好きで、透明水彩ならではのにじみや潤いを大切にしながら描いています。運河に映り込む建物や空の色は刻々と変化し、透明水彩特有のにじみやぼかしによって、その揺らぎや光の美しさを表現することができます。
朝のやわらかな光、夕暮れの金色の輝き、雨上がりのしっとりとした空気感など、光と水が織りなす情景は透明水彩と非常に相性が良く、絵具が紙の上で自然に溶け合うことで、ベニス独特の詩情が生まれます。また、古い建物の壁の風合いや石畳の質感、ゴンドラが静かに浮かぶ水辺の風景には、長い歴史の積み重ねが感じられます。細部を描き込みすぎず、光と空気感を大切に表現することで、観る人の想像を誘う余韻のある作品を表現したいです。
モチーフを生かす表現
Q.水辺、新緑や紅葉、雪、街並みなど、風景の主題はそれぞれどのようなことを表現のポイントにされていますか。
王:水辺は、ウェット・イン・ウェットの技法を用いて表現します。水辺のしっとりとした空気感や水の流れ、水面の映り込みのソフト感を表現するのに最もふさわしい技法だと感じます。
新緑の季節の若葉は一様な緑ではなく、黄緑から深緑へと繊細に変化しながら光を受けて輝いています。透明水彩のにじみやグラデーションを生かし、暖色系と寒色系などのバランスを取りながら表現することが大事です。
紅葉の表現は、単なる赤ではなく、光を受けて色を変化していますから、透明水彩の重なる際色をくすまないよう気をつけます。もう一つは赤色にグレー色を加えると画面の色合いが落ち着きます。
雪景色の表現は紙の白さを生かしながら、透明水彩のウェット・イン・ウェット技法による柔らかなにじみで雪景色を描き、雪に包まれた冬の静けさと、ふんわりとした雪の質感を表現します。
街並みを描く際は、建物の細部を追うのではなく、その街に漂う光や空気、そして雰囲気を描きたいです。グレーを基調とした色彩の中に、心に残る風景の印象を込めています。
風景の詩情、花々の彩り
Q.近作について
王:「爽やかな季節(上高地)」-5月の上高地。澄み渡る青空に白い雲が浮かび、遠くの山々にはまだ雪が残っています。河童橋の下を流れる清らかな梓川と、芽吹いたばかりの新緑が織りなす風景は、春から初夏へと移ろう季節の息吹に満ちています。その爽やかな空気と雄大な自然の美しさを描きました。
「水辺の光景」-昼下がりのフランス・シャトルの町。川の両岸には深い緑が続き、その奥には歴史を刻んだ古い建物が静かに佇んでいます。やわらかな陽光は建物の壁や石畳の道に陰影を落とし、穏やかな時間を映し出しています。少し先には一つの橋が川を渡り、緑と街並みは水面に美しく映り込みます。静寂に包まれた町のひととき、その安らぎと詩情を表現しました。
「午後の一時(アムステルダム)」-昼の光に包まれたアムステルダムの町。川沿いに茂る緑と古い街並みが水面に溶け込むように映り、穏やかな空気が漂っています。橋と緑の後ろに教会がそびえ立ちます。向こうへと続く静かな風景は、時の流れさえ緩やかに感じさせます。光と影、そして水面の揺らぎの中に、町が見せる静謐なひとときを描きました。
「蘭彩」-優雅に咲く薄いピンクの胡蝶蘭。その静かな気品に寄り添うように、紫のガーベラやブルーデルフィニウム、瑞々しい観葉植物を添えました。主役と脇役が響き合いながら、一つの花束となって優しい旋律を奏でる――そんな華やぎの瞬間を「蘭彩」に託しました。
「秋日(軽井沢)」-秋深まる軽井沢。色鮮やかな紅葉の向こうに、深いブラウンの教会が静かに佇んでいます。澄んだ空気に包まれたその風景は、まるで時の流れを忘れさせるよう。やがて鐘の音が秋空にやさしく溶け込み、木々の彩りとともに静かな詩情を奏でます。心に残った秋の日の美しい瞬間を、水彩に託しました。
季節の移ろいを感じられる展覧会に
Q.今回の個展に向けてメッセージをお願いします。
王:ギャラリー一枚の繪での18回目となる個展を開催できますことを、大変嬉しく思っております。
今回も、日本の四季折々の自然風景や、ヨーロッパの歴史ある街並みと水辺の風景を中心に制作いたしました。透明水彩ならではのにじみや透明感を生かし、光や空気、そして心に残った風景の詩情を表現しております。
特に今回は、新緑や紅葉、雪景色、花々の彩りなど、季節の移ろいを感じていただける作品を多く展示いたします。水辺に映る光の揺らぎや静かな街並みの佇まいなど、それぞれの作品に込めた物語にも目を留めていただけましたら幸いです。
また、これまで多くの皆様に作品をご覧いただき、温かい励ましのお言葉やご支援を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。作品をご購入くださるお客様とのご縁は、私にとって何よりの喜びであり、創作を続ける大きな力となっております。
一枚の絵が皆様の日々の暮らしに寄り添い、安らぎや小さな感動をお届けできましたら、これ以上の幸せはございません。会場にて皆様とお会いできますことを、心より楽しみにしております。
◎王 軍 おう・ぐん
1950 上海に生まれる
1976 上海戯劇大学美術学部卒業
1991 現代洋画精鋭選抜展入賞
1992 東京芸術大学色彩研究室研究生修了
1993 浅井忠記念賞展優秀賞(千葉県立美術館作品収蔵)
2006 王軍展(東京会館ギャラリー)
2008 ギャラリー一枚の繪にて個展(以後毎年、20年除く)
他個展・グループ展多数
イギリス・フランス・オランダ・ベルギー・イタリア・スイス・ドイツ など海外取材多数
2009~2019 クラブツーリズム水彩講座講師担当
2010~2012 雑誌『一枚の繪』に王軍水彩教室の連載を担当
現 在 王軍水彩教室、楽水彩教室(横浜関内)、NHKカルチャー町田教室、調布カルチャーセンター、新百合ヶ丘産経学園、横浜美術友の会絵画教室、目黒カルチャースクール 講師担当。
