Spotlight-画家インタビュー 相澤ななほPickup

相澤ななほ「山茶花」 水彩6号 132,000円

相澤ななほ「石蕗」 水彩6号 132,000円

相澤ななほ「柿」 水彩6号 132,000円

相澤ななほ「額紫陽花」 水彩6号 132,000円

相澤ななほ「蓮」 水彩4号 88,000円
四季の花々を、にじみなどの水彩技法を生かして美しい色彩と繊細な線で描く相澤ななほ先生。絵にしたくなる花、表現と技法の関係、今年の個展に向けてのメッセージなどを伺いました。
相澤ななほ先生
描きたくなる花
Q.好きな花、絵に描きたくなる花は?
相澤:絵に描きたいと思う花は、ふと見かけて、綺麗だなとか可愛いなとか素敵だなとか見事だなとか、とにかくグッときたものです。
最近は、近所のよく通る場所に咲いている花を描くことが多いですが、取材に行ったりお花屋さんで買ったりもします。蓮は、上野の不忍池と埼玉県行田市の古代蓮の里に取材に行きました。
見ていて好きな花は木蓮と向日葵です。また、良い香りのする花が好きで、特に沈丁花と梔子の香りが好きなんですが、絵として描くには難しそうでまだ描いていません。
花の佇まいや花を取り巻く空気感
Q.作品で表現したいことと水彩技法の関係、また、背景にほとんど着彩しない理由を教えてください。
相澤:作品で表現したいのは、花の佇まいや花を取り巻く空気感です。にじみなどの透明水彩ならではの技法は、花のしっとりとした質感を描くのに適していると思います。
背景を着色していないのは、もともと背景を描くのが苦手なので、思い切って背景を描くのをやめました。そうしたことで、描画する部分に集中でき、結果として描いた部分と余白との対比でメリハリのある作品にすることができました。
背景に色をつけるのは、空や水面を表しているか、表現したい空気感を表すのに色をつけた方が良いと思った場合です。また、白い花は背景が白だと描きにくいので、背景を着色することが多いです。まれにですが、背景を着色しないつもりで描き始めたけれど、花が描き終わった段階で背景が白だとしっくりこなかった場合に色をつけることもあります。
なぜ和紙に描くのか
Q.水彩紙ではなく、和紙を使うのはなぜですか。
相澤:学生の頃、油絵も和紙に描いていました。キャンバスの、目の前に立ちはだかる壁みたいな感じが苦手です。水彩も同じで、水彩紙のなんだかすごく硬くて強そうな感じが苦手です。立ち向かわなくてはならない、身構えてしまう感じが苦手なんだと思います。
和紙は柔らかく受け止めてくれる風合いが気に入っています。私が使っているのは高知麻紙という、芋麻と楮が原料の日本画用の和紙です。ドーサ引き(にじみ止め)がしてあるものを使っています。はじきが強く、水彩で描きやすいとは言えませんが、輪郭をきっちり描くことができます。
Q.近作について
相澤:「山茶花」-蕾が濃いピンク色で、開くにつれて色が薄くなっていく様子を水の量の調整による絵具の濃淡で表しています。この花のように、花びらにある程度の面積があり、色に変化があるものは、たらし込みの技法がうまくいきます。
「石蕗」-背景が白だと黄色の花は飛んでしまってよく見えないので避けがちでしたが、今回は冬の花を描きたかったので挑戦しました。葉の部分に比べて花びらの黄色をかなり濃くしてくっきりと見えるようにしています。葉は広い面積を活かして滲ませています。差し色として、花の黄色の補色である青紫をところどころ効かせています。
「柿」-花とは違う実の重量感を表現するのが難しく、時間がかかったのはやはり実です。絵具を乗せたり取ったりを何度も繰り返しながら描きました。描いていて楽しかったのは右下の紅葉しているところです。ここはベースに塗った色が少し乾いたところでたらし込みをして、その後は触らずに乾くのを待ちました。
個展に向けて
Q.今回の個展に向けてメッセージをお願いします。
相澤:四季折々の花を描きました。本当に久しぶりの個展なので、展示したらどのような感じになるのか、私自身楽しみにしております。また、長年誌上での発表でしたので、お客様に直接お会いできるのをとても嬉しく思います。皆様のお越しを心よりお待ちしております。
◎相澤ななほ あいざわ・ななほ
東京都生まれ
2003 東京藝術大学大学院修士課程絵画専攻油画技法・
材料研究分野修了
2004 全国絵画公募展IZUBI入選
トーキョーワンダーサイト0号展2003入選
2006 ワンダーシード2006入選
現 在 無所属