Spotlight-画家インタビュー 細川 進Pickup

細川 進「托鉢-生かされて」 油彩20号 440,000円

細川 進「午後の僧房」 油彩6号 132,000円

細川 進「岸辺のレストラン」 油彩4号 88,000円

細川 進「雨上がりの僧房」 油彩6号 132,000円

細川 進「静寂」 油彩6号 132,000円

細川 進展-展覧会情報
2022年の第45回絵の現在選抜展で金賞を受賞された細川進先生。しっとりとした情感をたたえ、時にカラフルな色彩や光に満ちた海外風景を中心に、精力的に制作活動を続けています。モチーフへの想い、近作について、今年5月に開催される選抜展金賞受賞記念個展にむけてのメッセージなどを伺いました。
細川 進先生
金賞を受賞して
Q.第45回絵の現在選抜展で金賞を受賞されて、画家として何か変化がありましたか。
細川:選抜展で金賞をいただいて、これまでの絵の方向を後押しされたようで、このままいこうかな、と思っています。
地味な絵しか描けませんが、自分なりに納得がいく絵を目指して時間切れまで描く、ということでよいのでは、と思っています。
その場の雰囲気や光を描きたい
Q.風景作品のモチーフになっている東南アジアを取材するようになったきっかけやモチーフとしての魅力、また作品で表現したいことや色づかいについてのお考えをお聞かせください。
細川:そもそもの取材のきっかけは、色のあるところに行けば、自分の絵が少し変わるかな、と思ったことでした。
ドラクロアはアルジェリアに行って、大きな影響を受け、色彩が印象派に繋がっていくとされます。また、パウル・クレーはチュニジアに行って、色彩に目覚めたと言われます。
「アラブの春」の前ですが、パウル・クレーのチュニジアでの足跡を巡るツアーに参加したことがあります。
ラオスは熱帯モンスーン気候に属し、1日で行けて、景色が良さそうで、あまり観光地化されていなさそうだったので、行ってみることにしました。バリ島にも行きましたが、ここはとても観光地化されていて、疲れました。
インドシナ半島中央部に位置するラオス。人々は、仏教を心の支えとし、川の恵み・山の恵みなど自然の恩恵を受けながら、暮らしています。悠々と流れるメコン川、緑溢れる山々、そこには素朴でありながら豊かな暮らしがあります。日本で暮らす私たちに、便利さとは違った物差しを示しているようです。一方で中国から高速鉄道が伸びてきたようで、これからラオスを含め周辺諸国にどんな影響が出てくるのか気になります。
戸外で描くにせよ、室内で描くにせよ、その場の光とか雰囲気を描きたいと思っていますので、割と対象に即した描き方になっていると思います。晴れていれば明るくなりますし、曇っていれば暗めになりますね。
ラオスの世界遺産都市に魅せられて
細川:今年の個展に向けて、近作はラオス北部のユネスコ世界遺産都市ルアン・パバーンの風景を多く取り上げています。
「托鉢-生かされて」-ルアン・パバーンの托鉢は有名で、今や観光資源にもなっていますが、地元の人々の仏教に寄せる思いを強く感じました。おばあさんの真摯な姿が目に止まり、これはいずれ絵にしたいと強く思いました。
「午後の僧房」-最初にルアン・パバーンに行ったのが1月でしたが、日中の日差しが強かったです。僧房が境内にいくつも立っていますが、人気がなく静かでした。
「岸辺のレストラン」-夕方涼しくなるころお店が開き、人が出てきます。開店直前の明暗のコントラストが興味深かったです。
「雨上がりの僧房」-2度目に行ったのが3月でした。乾季の終わり頃になりますが、雨がよく降り、街全体が落ち着くようでした。静かな情景を絵にしたいと思いました。
フレスコ画とテンペラ画
Q.油彩とモチーフや画風が異なるフレスコ画も制作されていますね。
細川:フレスコは古い技法に興味があったのでトライしてみました。その流れで言えばフレスコ画だけでなくテンペラ画も勉強しました。油絵以前の技法も勉強しておいた方が何か役に立つのでは、と思ってのことです。漆喰壁を塗るのは楽しいですね。家のトイレやリビングなどを漆喰壁にしました。室内の空気が浄化されるようで、おすすめです。油彩の技法との関連ではテンペラ画の方が役立っていますが。
選抜展金賞受賞記念の初個展
Q.今回の個展に向けてメッセージをお願いします。
細川:ギャラリー「一枚の繪」での初個展となる今回は、ラオスの世界遺産都市ルアン・パバーンとその周辺の風景を描いた作品を中心に展示いたします。また、国立西洋美術館にある「籠のある静物」(ヘーム)の模写、少しですがフレスコ画やテンペラ画模写なども展示いたします。ご高覧いただけますと幸いです。
◎細川 進 ほそかわ・すすむ
1954 北海道に生まれる
1977 国際基督教大学卒業
1986 太平洋美術研究所にて学ぶ
1987 武蔵野美術短期大学通信教育課程卒業
2002 太平洋美術会会員秀作賞
2003 池袋西武コミュニティーカレッジにてテンペラを修得
(石原靖夫クラス、~’05)
2017 FUKUIサムホール美術展奨励賞
太平洋美術会研究所本科クラス講師
2019 全日肖展小作品展部門銀賞
2022 絵の現在選抜展金賞