Spotlight-画家インタビュー 立川広己Pickup
華麗な色彩、大胆なタッチ、独自のモダンな表現で人気を誇る立川広己先生。今年3月に開く個展は「花の絵の集大成」になるということで、花の作品の軌跡、表現技法のこと、個展の見どころなどを語っていただきました。
立川広己先生
母に贈ったバラの絵
Q.花の絵を描くようになったのは、お母様のリクエストがきっかけだそうですね。
立川:若い頃は主にパリの風景を描いていたのですが、ある時、母に「自分の部屋に飾る花の絵を描いてほしい」と頼まれたのです。そのリクエストに応えて、ピンクのバラの絵を描き、母に贈りました。思えばその一枚が、花の画家としての私の第一歩でした。
その後は、ヨーロッパ風景に加えて、花の絵も増えてきました。もともと渋い色合いや中間色が好きで、花の絵も当初は、パステルカラーなどの淡い色彩で描いていました。
代表作誕生
Q.鮮烈な色彩で花を描くようになったのは、いつ頃からですか。
立川:1991年に、現代洋画精鋭選抜展(現・絵の現在選抜展)の第20回記念大展に応募したのがきっかけです。背景をパリの古い壁の色にしたかったので、鮮やかな原色ならばアンティークな感じのバックにマッチするのではないかと考え、持っている絵具の中でほとんど手つかずのまま残っていたピュアレッドでバラを描いて出しました。この記念コンクールで思いがけず金賞をいただき、さらに全国の展覧会会場でも深紅のバラの作品を出してみるとたいへん評判がよく、私の代表的なモチーフと言えるまでになりました。
それから赤、黄色、当初から描いていたパステル系、そしてパープルやブルーや鮮やかなピンクなど、私の花色の世界がバリエーション豊かに広がっていきました。
独自の花の表現を求めて
Q.写実描写とは違うスタイルやマチエールでも独自の花の表現を追求されていますね。
立川:花は少し立体感のあるマチエール、背景はあえて平面的で軽やかな表現と、対照的な質感にすることで、主役を前面に引き立てる効果と華やかさを演出しています。
背景に独特の光彩感や空気感をもたらしたり、静物である花の絵に動きを感じるニュアンスを与えるために、エアブラシも使います。また、シャープな線やフォルムを入れたり、箔をあしらうことでちょっとした変化やゴージャスさ、遊び心を加味するなどの創意を重ねてきました。
花の絵の集大成
Q.3月に開催される個展の見どころを教えてください。
立川:今回は、花の作品だけで構成した展覧会になります。紅バラやミモザなどご好評いただいているモチーフに加えて、「花の回廊」「つるバラの窓辺」シリーズなど、新しい作風の作品を発表します。どうぞご期待ください。
※より詳しいインタビューは、『一枚の繪』2025年2・3月号をご覧ください。
◎立川広己 たちかわ・ひろみ
1949 東京都に生まれる
1972 武蔵野美術大学卒業
1983 埼玉県岩槻市展市長賞
1984 日仏現代美術展入選
1986 上野の森絵画大賞展佳作賞 ニッポン放送賞
上野の森美術館作品買い上げ
フジテレビ「朝のテレビ美術館」放映
1989 自由美術展佳作作家賞 会員推挙(’21 退会)
1991 現代洋画精鋭選抜展記念大展金賞
1993 安井賞展出品
1994 全国花の大賞展招待出品
1997 「華宴」150号が経済産業省買い上げ
2001 沖縄平和祈念堂主催平和美術展に招待出品
2006 作家の視点展招待出品(上野の森美術館)
2009 東京有楽町フォーラム アートフェスタ出品
2023 画業50周年記念展を全国で開催
2024 主体展秀作作家賞
現 在 日本美術家連盟会員
全国の百貨店等で個展多数