今までの経験を検証して新たな境地に
コロナ禍以外にも、ご自身の病気や台風による自然災害の影響が鎮西先生の活動を困難にしていた事を、今、この取材によってうかがう事が出来ました。画家は、真っ白な画布に新しい世界を創造する人でもあるので、このコロナ禍の到来を事前にその身体で感じていたが故の帯状疱疹だったのかもしれないと思うのは筆者だけでしょうか。
鎮西直秀先生は 1953年高知県生まれ。現役で東京藝術大学絵画科に入学(彼末宏教室)し、在学時に一枚の繪主催・現代洋画精鋭選抜展で最高賞の金賞を受賞。その後パリ・サンターヌ画廊で個展を開催、現在も、美術界のトップランナーとして毎年数多くの個展を開催しております。
鎮西先生と災害、といいますと2011年の東日本大震災では宮城県の仙台で個展開催の際に震源地に近いところにいらっしゃったことが記憶に新しいです。
自身の歩んできた道のりを振り返ることで新境地を開拓を試みようという、画家の飽くなき創造への階梯は、きっとコロナ禍に見舞われていなくともその時は訪れたことでしょう。けれども今が、まさにその時なのかもしれません。
その成果は、延期になったいよてつ高島屋での個展で観ることができるかもしれないと思うと、鎮西ファンならずとも、明るい光を見るような思いを抱くことができます。
コロナ禍を焼き尽くすような力強い作品を制作したい
自粛期間中に、制作以外に何かなさったことがあるかとおうかがしましたら、
画題は常に目の前に広がる情景。大海原であったり荘厳峻厳な山容といった、大自然の生命力そのものを画布に染め上げる鎮西先生ですが、日常の中の小さな自然にも、日々対峙されていたのです。「心身共に浄化され」た画家には、神の啓示か、朝夕の光彩や、静かな霊力を持つ月光をテーマに、観る者の心に癒しと安寧、そして希望を抱かせる作品を描いてきたのです。
鎮西先生の明るい光に満ち満ちた「陽」の気が込められた作品の数々が、コロナ禍でストレスの溜まる暮しを送っている私達の心を「浄化」してくれることでしょう。今後の鎮西作品に、そして、延期になり11月に開催となるいよてつ高島屋の個展に希望の光を見出しましょう! |