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コロナ禍と画家と作品と 〜自粛生活中の絵(画想)のそだて方〜
Vol.5 山田幸見先生の場合

令和2年も残すところ2ヶ月ほどとなりました。今年は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、日常生活、経済が立ちゆかなくなる、稀有な1年になりました。
 「コロナ禍と画家と作品と」の第5回は、そんなコロナ禍のなか、予定された個展がすべて開催されたという山田幸見先生。取材をご依頼したのは今年最後の個展、いよてつ高島屋での個展が終了した後。今年一年を振り返っていただきました。


コロナ禍のプレッシャーに戸惑い、再び奮い立たせ、制作に没頭

 「私にとってのコロナ禍は、今までよりさらにたくさんの生き様に出会った時でした、どちらかというと苦境側の。
 強靭な対応力を持つよう一石を投じられたとするならば、その巨大な力に押しつぶされないようクルッと華麗に身をかわす術を備えよ、と、どこかから果敢に急き立てられている気がします」

 ……。作家によって、このコロナ禍による自粛期間中、絵が描ける方とそうでない方、さまざまいらっしゃったことを耳にしましたが、山田先生は大きな出会いがあったご様子。予定していた個展はすべて開催されたとはいえ、移動の制限のあるなか、銀座で開催されたギャラリー一枚の繪で開催された個展(2月17日〜29日)をのぞく各個展会場は出席がかないませんでした。

「まずは、突然の未曾有のコロナ禍の中で、今年4回の個展を安全に開催していただきましたこと、たくさんのご成約をくださったお客様方と御社や百貨店様に感謝をお伝えしたいと思います。
 期間の一部が全国緊急事態宣言中の個展もありましたし、私の住む県が発令した独自の宣言中であったり、医療関係において私自身が濃厚接触者になったこともありました。
 何よりご来場を楽しみにしておられたお客様が断念せざるを得なかった時、また積極的なお誘いは控えなければならないという辛い場面がありました。
 コロナ禍に対する考え方は個人の健康状態や見解、それぞれの立場や環境で異なりますので作家として、人として、自分の体調も鑑みどのように対処すべきか、個展会場都市の情報を日々チェックし悩み続けた1年でした。
 個展に向けては晴れやかな気持ちで力強く前を見ないと責任を果たせないのにコロナ禍のプレッシャーに戸惑う自分に幻滅したり、そこから再び奮い立たせんと、ひたすら制作に没頭しました。おそらくここ数年では一番制作をした年でした」

 「ひたすら制作に没頭〜ここ数年では一番制作を」されたという山田先生。とはいえ、「コロナ禍のプレッシャー」は画家に画布へ向かわせることを苦行のごとく強いていたのかもしれません。

内面的な喜怒哀楽の裸の感情も自然に具現化

 山田先生が画家を志したのは高校生時分、「父を亡くした大学進学の時、『己のスキルだけで食べていく=生きていく』必然を目の当たりにされ、名古屋芸術大学へ進学し、画家への道を歩みだしました。1994年秋、第23回現代洋画精鋭選抜展で銀賞を受賞後の翌年1月は阪神淡路大震災がおき、2011年、東日本大震災の年の7月には、復興に向けて歩み始めた仙台、藤崎で個展を開催するなど、困難なときにも、「己のスキル」である絵を描き、発表し続けてきました。
 コロナ禍にみまわれた今年、とりわけ外出自粛期間中にあらたな画想が生まれたのかをおうかがいすると、

「手法によって異なりますが、概ね私の作品は時間を要し、開催場所によってご当地由来の作品を投入しますので4ヶ所の個展の作品を描き分けるためには足りないくらいの期間でした。
 その意味では外出を避け、人との関わりの場を控えることは制作時間を捻出できると、前向きに捉えるように努めました。
 そして外向より内向に居ることによって、内面的な作品、もっと言えば美しい楽しいという主題に加えてあまりタブー回避に拘らずに哀しい、苦しいといった裸の感情も自然に具現化できるようになりました。
 静まり返った街───、いつ正常に戻るのか、いつ笑って人様にお会いできるのか、怒りや不安も人の持ち合わせる感情です。
 正義である大切なものが自ずと見定められて、シンプルにそれと誠実に付き合おうと決断できたという意義がありました。
 (自粛期間中に)制作以外は、したことはありませんが、私は本来、作品は会場で、できればご一緒にご覧いただきたいので、今迄は個展前に私のサイトでのご紹介を避けてきましたが、御来場が懸念される対策としてもちろん御了承を得てから、自身のHPで掲載をしました。(http://yukimiart.jp
 種々ある私のサイトの中で当初『これからプロ作家活動を始めたい方々へ』の趣旨だったサイトにも作品を載せたためか多種業界に渡り、まさか!
 と思う方々とも広く繋がりができ、苦手で寧ろ否定派なのですがSNSのメリット、デメリット双方の驚異を感じアイデアを駆使すればブルー・オーシャンは世界に限りなく広がっている実感を得ました」

と、見る側のことを慮る心持ちが、このコロナ禍で増したがゆえに、さらなる広がりが生まれていったかのようです。そして作品を生み出す上でも、「内向に居ることによって、内面的な作品、もっと言えば美しい楽しいという主題に加えてあまりタブー回避に拘らずに哀しい、苦しいといった裸の感情も自然に具現化できるようにな」った山田作品は、より味わい深いものになっていきました。

コロナ禍以前も以降も変わりなく精進し続けるのみ

 コロナ禍が未だ収束をみることがなさそうな現在、山田先生はこの状況下でどのような作品を私たちに見せてくれるのでしょうか。また、コロナ禍以降の美術界についてもお聞きすると、

 「私はコロナ禍以前も以降も変わりなく精進し続けるのみですが、広義に美術界となると、コロナという一つの課題をクリアするためのあらゆる情報が黙っていても飛び込んできますので隙ある角度からも斬りこむ柔軟な構想と斬新な実行力を頼もしく思います。
 伝統と革新が共存する世界の展開は興味深く、私がそれについてゆけるようにさらに努力しなければと身の引き締まる思いです。

 時代の流れで発表の場が閉店されるなど減少は否めませんが、私自身は作画のみで生活しているので制作の手を止めるわけにはいきません。露出を積極的に今後も次々に新作を生みます。
 そんなどん底みたいな位置から這い上がる姿勢とそこから生まれる作品をご覧いただければと思います」

と、心強いおことばをいただきました。
 コロナ禍という重苦しい空気が満ちた間、「内向」の創造をすることによって深化した山田作品。来年も、展覧会場や「一枚の繪」誌上で勇気をもらえる作品が数多く見られることでしょう。

コロナ禍と画家と作品と 〜自粛生活中の絵(画想)のそだて方〜 Vol.2 鎮西直秀先生の場合
山田幸見先生
コロナ禍と画家と作品と 〜自粛生活中の絵(画想)のそだて方〜 Vol.2 鎮西直秀先生の場合
『折紙』 日本画F4号
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『時を織る』 油彩F15号
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『北信五岳 Mt.Hokushin 5』 油彩F8号
コロナ禍と画家と作品と 〜自粛生活中の絵(画想)のそだて方〜 Vol.2 鎮西直秀先生の場合
『林檎花』 油彩F4号
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『坊っちゃん列車』 油彩F3号
ご自身で作成し、HPに掲載された、個展開催案内の素材(3点)
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