喪失感や無常感という
制作テーマを客観的にみたパリの1年
「Hope」第3回は、村山美代子(むらやま・みよこ)先生。
「一枚の繪」2021年4・5月号より、誌上日本画教室の連載をスタート。5月10日〜22日にかけ、東京・銀座 ギャラリー一枚の繪で3年ぶり2回めの個展を控えるなか、お話をうかがいました。
村山先生は、2018年春から、パリのCite internationale des artsに1年間滞在。日本にいると、日本画、油彩画などのジャンルでつい縦割りになってしまう美術界(全部が全部そうなってはいないのですが)とは異なる、ひとつ、アートでくくられた作家たちとの邂逅によって、ブレイクスルーされたようです。
これまでの村山作品と、パリから帰国されてからの作品。これまでご覧いただいた方にとっては、見どころに満ちた5月の個展になりそうです。
自分を表現する術を得て
村山先生は、東京生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業。佐藤太清賞公募美術展入選、練馬区民美術展教育長賞、同展区長賞、ACTアート大賞佳作と、評価が徐々に高まり、2014年、一枚の繪主催、絵の現在第41回選抜展で銅賞を受賞され、「一枚の繪」誌上でも作品を掲載させていただくことになりました。個展やグループ展も数多く、現代日本画の人気作家のおひとりともいえる活躍をみせております。
今現在の村山先生をみると小さい頃から絵が大好きで、画用紙に限らず砂場でも絵を描いていたのではないかと推察してしまっていたのですが、
表現者は時としてまわり道をして為すべきことにたどりつくことがありますが、身体芸術のバレエをなさっていたという経験は、先生を本当の居場所に誘ってくれ、今も佳き影響を与えてくれるものとなっています。人物画に見られる、ふとしたしぐさの表現のたおやかなリアルさは、観る者の網膜にそっとやさしく琴線を鳴らしてくれます。
画想を膨らませてくれるものは、目の前に、画家の画想のおもむくままにどこにでもある、ということをあらためて思わせてくれる村山先生のお言葉は、日々の暮らしを真摯に見つめる画家の背中を見せてくれます。
また、
と、読書好きな村山先生ならではのお言葉。影響を受けた詩人(歌人)に短歌界の巨星、研ぎ澄まされたことばをときに綺羅びやかに、ときに鋭い措辞で三十一文字を詠い上げた塚本邦雄が口をついて出てきたことは印象的です。
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