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TOPICS−新着情報

内田 博 油彩展

内田 博 油彩展 / 展覧会プレビュー 展覧会担当者に聞く 展覧会の見どころ

会期   2020年6月17日(木)〜6月23日(水)
10:00〜19:00 (最終日は16:30閉場)

会場

宮城・仙台 藤崎 本館6階 美術ギャラリー
TEL 022-261-5111
営業日や営業時間は都合により変更になる場合がございます。
内田先生在廊日(予定)  6月19日(土)〜6月20日(日)

内田 博 油彩展 / 展覧会プレビュー 展覧会担当者に聞く 展覧会の見どころ

展覧会プレビュー 展覧会担当者に聞く 展覧会の見どころ

 「自分としては新しい試みをしているつもりはないのですが、絵を描いている途中道草することが多く当初イメージしていた雰囲気と大きく違った作品が出来ることがあります。
 最初のイメージを大切にしながらも制作途中でのひらめきや直感みたいなものがその日その日の制作の出来を決めていくので、予想していなかった発見や興味が見つかることがよくあります。
 自分の中ではそれは自然の流れなのですが、もしかしたら第三者から見ると新しい試みのように思えるのかもしれません」


内田 博 油彩展 / 展覧会プレビュー 展覧会担当者に聞く 展覧会の見どころ
内田博先生(2011年の取材より)
内田 博 油彩展 / 展覧会プレビュー 展覧会担当者に聞く 展覧会の見どころ
『薔薇と静物』 油彩F8号
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『ラ・フランス』 油彩F6号
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何層も絵具を重ねることで生まれる対象の美
内田 博 油彩展 / 展覧会プレビュー 展覧会担当者に聞く 展覧会の見どころ
『石榴』 油彩SM

 果物や花などのモチーフを中心とした静物や風景作品なども手がける内田博先生。一見するとあまり変化の見られないような画面と感じてしまいがちな静物画も、じっと静かに眼の前の作品に没入して見入ると、これまでと異なる試みをしているように気づきます。内田先生のお仕事はまさにそうした作品に満ちていて、新作ごとに新しいことに挑んでいるかのようです。そのことについておうかがいすると、意外な返事が返ってきました。画家にとって、日々の移ろいゆく制作は変わらない日常なのかもしれません。が、結果として生まれるものが(第三者から見ると)新しく感じられる。制作の深淵をのぞくような思いがしました。

普段身近にあるものも違った見方が出来る


 内田先生は1977年愛媛県生まれ。地元の大学在学中、洋画家石井喜久子先生の教室に通い始めたことをきっかけに絵に没頭するようになったそうです。

 「それまで絵に基本があることを知らず、好きなように描いていればそれはそれで楽しかったのですが、初めてデッサンを学び、すぐにその奥深さを感じました。これは一生楽しめるなと直感的に思いました」

 大学卒業後、石井先生の「同じ志を持った人達の中に飛び込んで鍛える必要がある。」との助言もあり、上京。現在まで続く日本の公募美術団体で最も歴史のある太平洋美術会の研究所に通い、その後並行してアートマスターズスクール(ここでは西洋古典画の技法も習得)で、画技だけでなく対象のなかの美をつかむ表現を培ってきました(太平洋美術会の研究所では岸本政尚先生、アートマスターズスクールでは藤木俊明先生から多くの指導を仰いだそうです(藤木先生は現在、アトリエラポルトの講師をなさっています)。

 「技術的にはずっと古典絵画の研究をしていましたので16世紀から17世紀頃の技法がベースになっています。
作家で言えばレンブラントやカラヴァッジョ、フェルメールなどが活躍した時代です。
透明度の高い樹脂を溶剤に加え、絵具を何層にも重ねることにより品のある奥深い世界を表現できたらと思います。
技法がクラシックということもあるかもしれませんが、モチーフ選びもアンティークや骨董に惹かれることが多いです。静物画で言うとジャン・シメオン・シャルダンの影響があります。
生活している中で描いてみたいなと思うモチーフとの出会いはとても貴重です。
傾向としては人が使ってきた痕跡があったり経年変化して味わいが出てきた物に惹かれます。
あぁこれは良い傷の入り方だなとか、ふちの欠けたところがたまらなく魅力的に思えたり、ちょっと変わった見方かもしれないですがその辺りを基準に選んでいます。
果物など普段身近にあるにも関わらず実際に描こうとしてみると違った見方が出来て何度描いても飽きることはありません」

 その成果は2006年、一枚の繪主催、絵の現在第35回選抜展で銅賞を受賞。その後、若手画家の登竜門でもある昭和会へ招待出品するまでに周囲から高い評価を得るまでになりました。

ライフワークの静物画の魅力を伝えられれば

 現在では、個展を中心に作品を発表している内田先生。今回、藤崎でははじめての個展を開催することとなりました。

 「仙台では初めての個展ですので、雑誌などでしか見たことがないという方にもぜひ実際の作品を見ていただきたいと思います。
ライフワークにしている静物画の魅力を伝えることが出来ればうれしいです」

 作品を通して伝えたいものをおうかがいすると、

「静けさ、落ち着き、雑音のない世界です。
描いている間は自分自身がそのような世界に引き込まれていきます。
それはとても素晴らしい体験ですので、絵を見て疑似体験していただけたらうれしいです」

という内田先生。画家自身が「引き込まれ」る世界に、見る者も思わず入ってしまうことでしょう。

 
内田 博 油彩展 / 展覧会プレビュー 展覧会担当者に聞く 展覧会の見どころ
『なでしこ』 油彩SM

絵画制作は「宝探し」

 昨年から続くコロナ禍にあって、「5年ぶりに日記ブログを再開」されたという内田先生。展覧会など発表の場を閉ざされたときに、インターネット上での作品発表、ことばを紡ぐことも再開されたとのこと。
ある日の記事を読むと、絵画制作は「宝探し」のようなものだと書かれていたのが印象的でした。制作が進んでいくと、絵具を足したり引いたりする繰り返しになり、そのさ中、ふと「ひらめくような感覚を見つける」ことができると絵の魅力が増す。それを「宝探し」と形容なさっていらっしゃいました。
作品の画面のなかにかくれている「宝」を探し出す愉しみ与えてくることも、内田作品の魅力かもしれません。

 これからも、「生活の中で惹かれた物は出来るだけ描いていきたい」という内田先生。近作では、これまで描いてきた西洋アンティークの陶器に花や果物といったモチーフから、日本の、備前や唐津などの陶器を用いた生花など、作品世界の奥行きがさらに深まっていっています。藤崎での初個展でも、日常のなかに現れる美の世界へ、内田作品がいざなってくれることでしょう。

 

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