山も里も、まばゆい黄金色や鮮やかな紅に染まる秋。今月は、色彩を主役に描いた秋の風景の中からおすすめ作品５選をご紹介いたします。

川村信子　白木の聲

白木の聲　油彩Ｐ８号 220,000円（税込）
奥入瀬の渓流を下り、穏やかに川面が開けたとき、何かに呼ばれた気がして目を向けると、白木の枝がポツンと浮かんでいました。綾錦が散りばめられたような風景の中、白く光ったその枝は、何かを語りかけてくれているようで、しばらく目と耳を澄ましていました。（川村信子）

金子東日和　秋麗山里（広島県北広島町）

秋麗山里（広島県北広島町） 油彩８号 528,000円（税込）
初秋の頃から燃えるような紅葉の秋。さらに晩秋へと移りゆく秋。ときには紅葉に雪が降るという思いも寄らない情景にめぐり合える秋もある。この作品の民家も、初めての取材から何度となく訪れてはそれぞれの秋を描いてきたが、今はトタン屋根に変わっている。（金子東日和）

野口俊介　色づく

色づく　油彩Ｍ４号　154,000円（税込）
紅葉の名所としても知られる石川県の渓谷・鶴仙渓は、お気に入りの取材地のひとつです。陽の光を受けて色づいた木々がまぶしくきらめく情景は、移ろう季節が見せる特別なご褒美の瞬間のように感じます。（野口俊介）

梅村 徹　お母さんといっしょ（奈良公園）

お母さんといっしょ（奈良公園）　油彩6号　198,000円（税込）
風景の中に動物たちを入れることが好きです。奈良公園ではたくさんのかわいらしい鹿たちに出合え、絵の取材仕事を超えて、とても楽しい旅になっています。（梅村 徹）

百瀬太虚　京秋・天龍寺（京都市）

京秋・天龍寺（京都市）　油彩４号　176,000円（税込）
嵐山の三町の赤松を赤く染め、山腹の紅葉を赤く染め、山麓の曹源池に朝の光が降りてくる。池野ほとりの常盤の松に秋の陽射しが注ぐとき、池のほとりの岩座で結跏趺坐した画僧は頓悟する。日々是好日。（百瀬太虚）