Spotlight-画家インタビュー 日春展作家による春の日本画小品展Pickup
山下保子「菜の花」 日本画P6号 528,000円
間瀬静江「穣りの童子」 日本S4号 385,000円
能島浜江「フキノトウ」 日本4号 264,000円
手塚恒治「五月の雨」 日本画M6号 396,000円
棚町宣弘「宵のターミナル」日本画6号 330,000円
能島千明「アネモネ」日本画P6号 462,000円
稲田亜紀子「潮騒」日本画S4号 165,000円
日本画の振興を目的として約60年前に創設された日春展(日展日本画部春季展)。この春、日春展会員7名による「春の日本画小品展」が、ギャラリー一枚の繪で開かれます。
出品作家のうち4名の先生方に展覧会への想いや作品について伺いました。
深い思い出の歴史
山下保子 やました・やすこ
女子美術大学日本画専攻を卒業した年の「日展」から出品、入選して半世紀が経ちます。 日春展は大学3年の作から入選しましたので、今年60年のこの展覧会は、深い思い出の歴史です。絵の世界の華やかな時代、グループ展も多く、また、画廊企画展にもたえず追われていました。
今回の「菜の花」は、以前グループ展に「山和の春」を描き、奈良の風景のために準備をした一部です。のどかな春の空気が伝わればよいのですが。
童子は自然や宇宙の表象
間瀬静江 ませ・しずえ
1年に1回巡ってくる日展では、その時々において自分が最も描いておかねばならないテーマ、モチーフを選んでいます。言ってみれば画家としての存在証明なのですが、毎回思いのたけに追いつきません。いつまでたっても手探り状態です。
そんな中でも年が明け春夏になると、今年はどういう構成でいこうか、とかいろいろ頭に浮かんでくるのはもはや習い性なのでしょう。今となっては、毎年夏から秋にかけて日展制作に打ち込むことそのものが、私にとって必要不可欠なアウトプットでありインプットとなっているのです。
現在の制作テーマは決まっているので、日展でも日春展でもあまり迷うことなく小下図に入ります。やはりサイズの違いは大きいです。日展サイズは中篇小説、日春展は短篇小説という感じでしょうか。大きい分、日展は体力が半端ではありません。でも、エッセンスは同質です。
ここのところ描いている童子は人間の子供の姿かたちをしていますが、ある意味私たちの周りを取り巻く自然や宇宙などの表象としてとらえています。今回は豊穣の秋を運んでくる、恵みの童子として描きました。
日展・日春展に育てられて
能島浜江 のうじま・はまえ:
大学3年の時、父からチャレンジしてみてはどうかと声をかけられたことをきっかけに日展へ出品、翌年春には日春展に挑戦しました。以後毎年出品し続けています。
日展では人物を描くことが多いので、日春展ではいろいろなものに挑戦しようと決めて、動物や植物、時には風景などを描いています。励ましや温かな眼差しで見守っていただき、日展・日春展で私は育ったのだと思います。育てていただき、今があることに感謝しつつ、これからも挑戦を止めずに、日本画を追求しようと思います。
我が家の近くにある線路沿いに、毎年フキノトウがひょっこりと春を告げてくれます。いつのまにかニョキニョキ成長し、こんなにたくさん春がやって来ていたのだなと気づかされます。昨年、その線路沿いの暖かな日が当たる斜面にシートが張られ、今年はフキノトウに会うことができません。今年の春を見つけることができるように、スケッチを引っ張り出して、暖かな春の日のフキノトウを描き記しました。
組み合わせの妙で拡がる世界
手塚恒治 てづか・ひさはる:
日展・日春展は、多摩美術大学四年次に初出品・入選し、以降現在に至っています。大学では加山又造教室で、卒業してから日展入選四年目に奥田元宋先生に師事しました。2003年に元宋先生、その翌年に又造先生がご逝去され、その後日展・日春展他、個展・二人展・グループ展等、積極的に発表しつづけています。
この度の第3回春の日本画小品展、気持ちを込めた作品を出品させていただきます。
5月、私の家の庭に、海芋(カラー)がしとやかに開きはじめます。そして次々と開くカラーを素描しつづけます。その美しい形状と白という清楚な色が、人物や卓上での静物と、あるいは芽を出しはじめた茗荷(みょうが)と組みあわせると、私の世界が拡がります。また、雨が降り始めると、なぜか過ぎ去った日々のなつかしい記憶がよみがえります。

